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中古車市場で根強いエンジン車の人気

年初以来の5ヵ月間のフランスの乗用車市場では、新車販売においてフルEVが15%、ハイブリッド車(PHEVも含む)が30%超のシェアを占めて電動化が進みつつあるが、中古車市場ではエンジン車が相変わらず根強い人気を保っている。販売台数で比べると、中古車市場は新車市場の2.5倍の規模があり、年初以来の5ヵ月間で210万台が販売されたが、このうちフルEVのシェアは1%、ハイブリッド車(PHEVも含む)のシェアは5.6%に過ぎない。対照的に、ディーゼル車は新車市場でのシェアは16%強に縮小したが、中古車市場では52%と過半数を占め続けている。
今後に大都市圏では排ガス規制が強化されて、低排出区域が増設され、都市の中心部からはディーゼル車をはじめとするエンジン車が締め出される可能性が強いが、こうした展望が中古車市場には必ずしも反映されない理由について、自動車市場調査会社AAADataでは、「フランスは広く、中古ディーゼル車の購入者は大都市住人とはものの見方が異なる」と、主に田園部住人が中古ディーゼル車を購入していることを示唆している。同社はさらに、車齢の高い中古車の販売割合が毎年のように拡大しており、車齢10年以上の中古車のシェアが2020年1-5月期の43%から2023年1-5月期には48%に上昇したとし、旧型車のシェア拡大で低排出化は進まないと指摘している。
中古車市場のこうした傾向は価格の急激な上昇に起因している模様。オンライン中古車売買サイト「ラサントラルデパルティキュリエ(La Centrale des Particuliers)」によると、2020年1月から2022年12月までの2年間に中古車全体の平均価格は43.7%上昇したといい、いま買い替えの際に同じクラスのモデルを購入しようとすると、2020年の価格と比べて、車齢が8年未満なら5000-8000ユーロ、8年以上なら3000ユーロを上乗せする必要があるという。現在の価格中央値は2万2000ユーロだが、車齢が2年未満なら3万ユーロに近く、8-15年なら1万ユーロ、15年を超えると6500ユーロと差が大きい。予算が限られたドライバーは車齢の高い中古車を選択せざるを得ない状況が生じている。
2020年からの新型コロナウイルス危機の影響で、半導体不足などによる新車の供給減が起き、中古車の需要が高まったことや、インフレで購買力が低下したドライバーが従来よりも長期にわたり同じ自動車を使用する傾向を強めて、車齢の低い中古車が品薄になったことなど、複数の要因が中古車価格の上昇を招いたとみられている。

KSM News and Research