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アトスの情報処理事業、クレティンスキー氏が買収へ

アトスは1日、再建計画の一環として、従来の本業である情報処理サービスを束ねた「テック・ファウンデーションズ」の売却に向けた独占交渉をEPエクイティ・インベストメントと開始することを決めたと発表した。アトスはこの売却を経て、今後の主力と見定めるサイバーセキュリティ等の事業を束ねた子会社Evidenの社名をそのまま自社の社名として採用し、再編を完了する。アトスは臨時株主総会を招集し、増資を含む再編計画の承認を諮る。取引は10-12月期中か、2024年3月末までの実現を目指す。
EPエクイティ・インベストメントはチェコの実業家クレティンスキー氏の投資会社。同社は1億ユーロを支払ってテック・ファウンデーションズの100%株式を確保する。19億ユーロの債務も引き受け、アトスの運転資金には10億ユーロ程度の余裕が生じる。テック・ファウンデーションズは年商が54億ユーロ、従業員は世界に5万2000人を数える。
アトスはこれに続いて9億ユーロの増資を行い、事業発展のための基盤を確保する。クレティンスキー氏は増資に加わり2億1750万ユーロを投資し、7.5%株式を取得して新生アトス(Eviden)の筆頭株主となる。クレティンスキー氏には、仏大物実業家のラドレドラシャリエール氏が協力。なお、両氏のタッグは、食品小売大手カジノの救済買収でも実現していた。
クレティンスキー氏は本国のエネルギー部門で財産を築き、フランスにも最初は石炭発電所の買収などで進出。その後はメディア部門などに資産を広げている。カジノへの出資に続いてアトスからの買収案件により、出資先の部門がさらに広がる。ただ、テック・ファウンデーションズの立て直しは容易ではない。アトスは、2022年6月の時点で、立て直しのために2026年までに11億ユーロの投資が必要であり(うち7億5000万ユーロは再編費用)、キャッシュフローの黒字化は2026年になるとの展望を示していた。

KSM News and Research