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フランス漫画市場、狂喜の時代は終焉

調査会社GfK の調べによると、2023年1月から5月までのフランスでの漫画の販売数は1620万部で、前年同期比で18%減少し、販売額は1億3010万ユーロで、同14%減少した。8月3日にレゼコー紙が報じた。なお、フランスでは、日本の漫画(の翻訳)を「Manga」と呼んで、伝統的バンド・デシネ(BD)と区別しており、この調査は「Manga」を対象としたもの。
しかし同紙は「狂喜の時代」は終焉したものの、大局的に見ると、さほど悲観する必要はないとも指摘している。フランスの漫画市場はここ数年2桁の成長を遂げており、特に2021年には3桁の成長を記録して市場が2倍に拡大した。フランスは世界でも日本に次ぐ漫画大国で、2022年にはフランス書籍産業において漫画部門が売上の10%近くを占めるまでに成長した。
今年の漫画市場の停滞を業界関係者は次のように分析している。まず、日本の漫画出版がエアポケットに入ったため、コンテンツを依存しているフランス市場もその影響を受けている。次に、紙の値上がりを受けて、数年前は1冊5ユーロ前後だった単価が徐々に10ユーロに迫っている。そして生産過剰。業界が好調と見て出版数が急増したため、書店の売り場に置かれる期間が短くなり、新刊漫画が消費者の目に止まりにくくなった。
業界の二極化も進んでおり、「NARUTO -ナルト-」「ワンピース」「僕のヒーローアカデミア」といったメガヒット作品がある一方、販売数が1万部に達しない作品も多い。しかし、メガヒット作品は連載終了後も売れ続けるロングセラーになりつつあるし、今後アニメ化される作品には販売の大幅増を期待できる。フランスの漫画市場は依然堅調である。

KSM News and Research