フランス情報メディアのET TOI(エトワ)

フランスと日本をつなぐ

1€=

新規登録

仏研究所、ミルク繊維の新製法と亜麻廃棄物からの繊維生産手法を開発

北仏トゥルコワン市(ノール県)にある民間研究所CETIはこのほど、ミルク繊維の新製法と、亜麻仁油用の亜麻の茎を原料とする繊維の生産方法を確立したと発表した。
量産の準備に移行する。
ミルク繊維は、牛乳に含まれるカゼイン(たんぱく質)を原料とする繊維で、滑らかな肌触りで知られる。1930年代に発明されたが、製造には重度な化学的工程を必要とするため、現在はほとんど生産されていない。CETIは、食用には適さずに廃棄される牛乳を原料として、環境負荷が小さい生産方法を開発。フランスでは年間の牛乳廃棄量は700万リットルに過ぎず、大衆的な製品にするには適さないが、高級品としての需要は期待できる。乳業組合CNIELは、主要な牛乳生産地のいずれか(ブルターニュ、ノルマンディ、オードフランス)にパイロット工場を整備する計画に着手する。
亜麻仁油は亜麻の種から抽出されるが、繊維用の亜麻とは異なり、採油用の亜麻の茎は廃棄されている。CETIはこの廃棄される茎からセルロース繊維を生産する手法を開発。生産過程で二硫化炭素を用い、また、原料の炭素負荷という点でも疑念があるビスコースを代替する製品として需要の開拓を目指す。廃棄物の有効利用となり、原材料を国内で潤沢に確保できることから、大衆的な用途にも適している。CETIは実証プラントを整備するため250万ユーロの資金を必要としており、デカトロン(スポーツ用品販売)などによるコンソーシアムが製品化を支援している。

KSM News and Research