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伊ベネチア市、オーバーツーリズム対策の入市料を導入へ

伊ベネチア市議会は9月12日、オーバーツーリズム対策として、日帰りで訪れる観光客を対象に2024年から5ユーロの入市料を導入することを決定した。支払いはオンラインで可能な仕組みとする。
ユネスコは7月末、オーバーツーリズムや気候変動の影響が、世界遺産に登録されているベネチアのたぐいまれな普遍的価値に回復不能の損傷をもたらす危険があるとの理由から、存続が危ぶまれる「危機遺産」への指定を勧告。保全に関する共通の包括的な戦略ビジョンの欠如や、市当局と国の調整不足などを批判していた。なお、ベネチアは2021年にいったん危機遺産リスト登録を免れていた。今回ベネチアを危機遺産リストに登録するかどうかは、今年9月の世界遺産委員会で決定される。
市議会はこの入市料の導入により、日帰りで訪れる観光客の数を制限できると期待している。ただし、適用するのは、観光客が特に多い時期(祝日と週末が重なって連休が多い春季、夏季休暇など)に限定し、年間に30日以内とする方針(正確なスケジュールは後日に発表)。また14才未満は対象外とする。
ベネチア市のブルニャーロ市長は、これは最初の1歩であり、試験的な対策だとしているが、野党陣営からは、ユネスコの警告に対する場当たり的な対応に過ぎず、5ユーロの徴収でベネチア見学を諦める観光客はいないと批判している。

KSM News and Research