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文豪が描いた景観保護を理由に風力発電禁止、行政最高裁の判例が確定

行政最高裁(コンセイユデタ)は4日付で、ウールエロワール県内の風力発電施設の建設計画を最終的に禁止する決定を下した。文化的景観の保護を理由として禁止した。国内の陸上風力発電の整備計画を妨げる判例となる可能性がある。
建設計画はJPエネルジー・アンビロヌマン社が推進。高さ150メートルの発電機8基を建設する計画だった。この現場は、文豪マルセル・プルーストが20世紀初頭に著した作品の中で描写したイリエ・コンブレー町から5kmに位置することから、作中の風景が保護されなくなると主張する市民団体等が計画に反対。同県県庁は反対派の主張を認めて建設許可の付与を拒否し、これを不服とする計画主体が行政訴訟を起こしていた。2022年にベルサイユ高等行政裁は計画主体側の訴えを退けており、上告審で行政最高裁も下級審の判決を支持し、建設を禁止した。
行政最高裁は判決の中で、イリエ・コンブレーの教会尖塔や、プルーストの伯父が造園した庭園が歴史的建造物に指定されていることを挙げつつ、作品に密接にかかわる景観の保護の公益性を認めて、計画禁止の根拠とした。風力発電業界側は、この判例により、建設禁止の理由が増えることを警戒している。

KSM News and Research