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ブリュッセルのテロ事件容疑者、17日に警察が射殺

ベルギーの首都ブリュッセルで16日夜に起きたテロ襲撃事件の容疑者は17日朝、スカールベーク地区(ブリュッセル首都圏)のカフェで、警察により射殺された。容疑者は動画による犯行声明をSNSに投稿しており、捜査当局による容疑者特定は早かったが、行方を突き止めるまで12時間を要した。
報道によると、容疑者の名前はアブデサレム・ラスエド。チュニジア国籍の45才の不法滞在者で、スカールベーク地区の集合住宅に居住していた。2019年に難民申請を行ったが2020年に却下され、国外退去命令を受けていたが従っていなかった。デクロー首相は、記者会見で、国外退去命令の強制執行が必要だとし、難民申請を却下された不法滞在者の国外追放処分をより効果的に実施する対策を検討する方針を示した。
容疑者は犯行声明で「イスラム国」に所属するとしていたが、ベルギーの捜査当局は一匹狼的な犯行とみて、ブリュッセル首都圏におけるテロ警戒のレベルを16日の4(最高)から17日には3に引き下げた。
容疑者はまた、SNSに投稿した動画で、コーランを燃やす示威行動が繰り返されたスウェーデンの出身者を標的とする意志を明確にしていた。スウェーデンのクリステション首相は17日の記者会見で、スウェーデンとその市民に対するテロ襲撃だと考えられると認めた上で、容疑者が2012年から2014年にかけて別名を用いてスウェーデンに滞在し、この期間中に刑務所に服役したことを明らかにした。2014年に欧州の他の国に追放されたという。
クリステション首相は、テロに屈せず、開かれた民主社会を保護する意志を表明すると同時に、国外退去命令を受けている2万7000人の不法滞在者の追放、国境検査の改善、警察と情報機関の権限強化などの対策により安全の確保を最優先する方針を掲げた。
コーランを燃やすなどの反イスラム抗議行動について、現行法では禁止できないため、スウェーデン政府は今夏からこれを抑制するための改革を検討しているが、法律の専門家らは、その実現可能性は薄いと判断している。現政権に閣外協力する極右政党「スウェーデン民主党」は改革に対する全面的な反対を表明している。
なお、10月24-25日に予定されていたマクロン仏大統領のストックホルム訪問は延期されることが決まった。

KSM News and Research