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アルストム、人員削減を含む立て直し策を発表:株価低下は止まらず

仏アルストム(鉄道機器)は15日に4-9月期(2024年3月期の上半期に相当)の業績を発表した。債務削減を目的とする措置も予告した。
アルストムは4-9月期に100万ユーロの純利益を記録。ごくわずかな黒字にとどまった。他方、売上高は84億ユーロと大きく、期末の受注残は900億ユーロに達しており、事業そのものは順調だが、フリーキャッシュフローはマイナス11億ユーロと大幅な赤字となった。2024年3月期全体でも5億-7億5000万ユーロのマイナスになる見込み。増産努力の中で部品等の調達と在庫構築の努力に資金力を吸い取られている一方で、2021年に買収したボンバルディア・トランスポートに由来する契約のいくつかに引き渡しの遅れが目立ち、資金繰りを圧迫している。
アルストムは立て直しを期して一連の改善策を発表。まず、ガバナンス面では、会長とCEOの兼務を廃止し、プパールラファルジュ会長兼CEOがCEO専任となり、会長にはサフラン(航空機エンジンなど製造)出身のフィリップ・プチコラン氏を任命する。2024年7月の株主総会で決定する。それとは別に経費節減を推進。営業・総務部門の従業員の10%に相当する1500人(フルタイム雇用換算)を削減する。また、資産売却を進めて財務を改善すると共に、増資の実施も検討するとした。
格付け会社のムーディーズが最近にアルストムの格付け見通しを「ネガティブ」に修正しており、投資適格(Baa3まで)を失うリスクが生じている。同社株価は1年間で45%の低下を記録しており、債務削減の展望を示すことが急務となっていた。15日の発表を経て、同社株価は終値で15.81%の大幅安を記録。増資の展望などが嫌気されたものとみられる。

KSM News and Research