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中古住宅取引価格、7-9月期に低下に転じる

30日発表の公証人統計によると、全国の中古住宅取引価格が7-9月期に低下に転じた。前年同期比で1.8%低下した。同価格が低下するのは2015年以来で初めて。

金利上昇に伴い、住宅を購入する家計の資金力に陰りが出て、これが取引価格の下げ圧力になっている。中古住宅取引価格は、2022年4-6月期には6.8%の上昇を記録しており、上昇が始まった2015年以来で、累積で32%の上昇を記録していた。しかし、上昇幅はそれ以来で小さくなっており、2023年4-6月期には0.5%まで鈍化していた。7-9月期にはついに低下に転じた。

パリ首都圏では既に、4-6月期に3.1%の低下を記録していたが、低下幅は7-9月期には5.3%まで拡大した。特に一戸建ての取引価格が5.4%低下しており、値下がりが目立つ。パリ市内の平均取引価格は11月末時点で9920ユーロ/平方メートルとなり、1万ユーロ台を割り込んでいる。地方の取引価格は7-9月期に0.5%の低下に転じた(4-6月期は1.8%の上昇)。一戸建てが1.0%の値下がりを記録、アパートは0.5%の上昇を記録しているが、上昇幅は前の期の2.8%からかなり縮まった。

全国の取引件数は7-9月期に92万8000件となり、100万件台を割り込んだ。取引後退の背景には、家計が銀行融資を得られにくくなっている状況がある。金利上昇に伴い、信用力の低い債務者に設定される金利が法定上限に収まらなくなっている。政府は12月1日付で、上限金利を6.11%(償還期限20年)に引き上げることを決定。ついに6%台に突入することになるが、住宅購入の冷え込みを解消するのは容易ではないとみられる。

KSM News and Research