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イリアッド、ボーダフォンにイタリア事業の統合を提案

仏イリアッド(通信フリーの親会社)はこのほど、英携帯大手ボーダフォンのイタリア子会社に統合を提案した。イリアッドのイタリア子会社と折半出資の合弁事業とする。提案において、ボーダフォン・イタリアの評価額は104億5000万ユーロに設定された。

イリアッドは2022年2月にもボーダフォン・イタリアの買収を提案したが、退けられていた。その時の評価額は112億5000万ユーロで、今回の提案はそれよりも低いが、EBITDAAL(営業利益)倍率では7.8と、当時の7.1を上回っている。ボーダフォン・イタリアの業績低下を折り込んで評価額を設定した。

イリアッド・イタリアの評価額は44億5000万ユーロに設定され、折半出資合弁化に当たっては、イリアッドが60億ユーロの精算金をボーダフォン株主に支払う。イリアッドは、毎年10%ずつ合弁の株式を買収するオプションも提案。中期的に完全子会社化する展望も確保する。

イリアッドは本国フランスのほか、イタリアとポーランドで事業を展開。欧州大手に食い込むことを目指している。ボーダフォンは非戦略事業を売却する方針で、スペイン事業は売却済み。イタリア事業の売却も検討中だが、報道によると、スイス同業スイスコムも買収を打診しているといい、イリアッドがすんなり買収できるとは限らない。イタリアの携帯市場シェアでは、ボーダフォンが22.6%、イリアッドが12.2%となっており、欧州委員会が競争問題でこの統合に難色を示す可能性もある。

KSM News and Research