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仏政府の準備する「エネルギー主権法案」の内容が明らかに

仏政府は現在「エネルギー主権法案」を準備しており、1月末から2月頭頃に閣議への提出を目指している。同法案は1月8日に諮問に付され、その内容が明らかとなった。原子力発電の推進を中心に据えている一方、再生可能エネルギーについては具体的な目標が設定されていないのが特徴となっている。

原子力発電に関しては、2026年までに、EPR(第3世代加圧水型炉)6基分にあたる9.9GWの建設を開始すること、その後、13GW(8基分のEPRに相当)を追加することが明記された。また国内の原子力発電の総容量については「63GW以上」と設定し、オランド大統領下で定められた「2035年までに原子力発電が電源構成に占める割合を50%に引き下げる」という目標や、63.2GWという原子力発電所の総容量上限を撤廃する。

一方で政府は、再生可能エネルギーについて、法案の提案理由書に「洋上風力発電を2035年までに18GW設置、太陽光発電を2035年までに75GW超設置、陸上風力発電では現在の設置ペースを維持」といった目標を掲載しているものの、法律内に目標の言及はない。政府はその代わりに、CO2排出量削減、再生可能熱生産の増加、省エネ強化、化石燃料使用量削減に関して野心的目標を設定した点を強調している。政府関係者は、「(原子力発電をはじめとする)既存のエネルギーでできる限りのことをしてから、それでも足りない部分を再生可能エネルギーが補完することになる」と説明。また再生可能エネルギー目標については、夏までにデクレ(政令)を通じて発表すると予告している。

このほか、「エネルギー主権法案」は消費者保護を強化。エネルギー小売事業者がユーザーに契約内容をより明確に示すことを義務化する。また昨年11月に政府と仏電力大手EDFとがARENHの後継制度に関して合意した内容に基づき、1MWhあたり70ユーロという基準価格を大きく超えてEDFが卸売市場で収入を得た場合、これを消費者に還元する、という措置を法制化する。

KSM News and Research