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国民の半数が中産階級=モンテーニュ研究所が定義を提案

経済界寄りのシンクタンク「モンテーニュ研究所」は24日、「中産階級」に関する報告書を公表した。マクロン政権が2025年にも中産階級向けに20億ユーロの減税を行うと予告する中で、中産階級の定義を提案し、政策運営の留意点を示す内容となった。

報告書は、中産階級の定義として、可処分所得が下から30%以上、上から20%以下の層(国民全体の半数に相当)を採用するのが妥当であるとした。職業上の区分を用いると、年金受給者など定義できない人が多くなることをその理由として挙げた。この定義では、月額の可処分所得が1440ユーロ(世帯の成員をウェイト付けして頭割りにした額。例えば夫婦2人の世帯は世帯の可処分所得を1.5で割って得られる)以上、3110ユーロ以下が中産階級となる。報告書は、中産階級を2つに分けて、「下位中産階級」(1440-2260ユーロ)と「上位中産階級」(2660-3110ユーロ)に区分することも提案。前者は全国民の30%、後者は同20%に相当する。

国民を対象に2023年に行われたアンケート調査では、全体の63%の人が自らを「中産階級」に属すると回答しており、イメージの上では、中産階級の広がりは、「モンテーニュ研究所」の定義するところよりも大きい。報告書は、中産階級が、子どもの世代において階級の低下に見舞われることを恐れており、教育と労働の価値を通じた社会的地位向上を求めていると分析。また、所得再分配が貧困層を優先する余りに中産階級に多くの負担を求める形になっていると不満を持っているとした。報告書は対策として、労働の価値が所得により反映されるような制度作り、持ち家支援の住宅政策、教育へのアクセスの改善、気候変動対策の家計への負担への配慮、などを挙げた。

KSM News and Research