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アタル首相の所信表明演説:農民らは納得せず、抗議行動を継続

アタル首相は30日、就任以来で初めての所信表明演説を下院で行った。

首相はこの中で、新たな改革は示さず、国民の力の発現を妨げている規制や煩雑な行政手続き等を緩和することに力を注ぐ考えを明らかにした。若い世代が未来を切り開くのを助け、中産階級が抱く懸念に答え、「働く者が働かない者より多くを得る」社会の実現を目指すと説明した。各論では、失業手当の支給期限が切れた失業者に支給される手当であるASSを廃止し、生活保障手当のRSAに一本化する方針を表明。住宅不足の対策では、自治体と協力して供給面から問題解決を探るとし、規制緩和をその柱に据える考えを示した。このほか、硬直した規制により既得権を得ている業界の風通しを良くするための規制緩和法案の準備も約束した。医療問題では、外国人医師の採用等の規制を緩和する方針などを確認した。

アタル首相は、抗議行動を続けている農民向けには、特に援助金の支給の迅速化を約束。農機燃料の課税還付など数日前に発表した諸措置に加えて、欧州共通農政(CAP)関係の補助金についても、3月15日までに支給すると約束した。このほか、若年農業経営者の開業支援措置、物価上昇に苦しむ畜産業者向けの税制優遇措置(2億ユーロ規模)、ワイン向けぶどう農家の支援基金の設置、外国産農作物の産地表示義務等の徹底を図るための検査の強化などを予告した。これに加えて、マクロン大統領も、訪問先のスウェーデンから農業問題について言及し、ウクライナ産農作物の過剰流入について欧州連合(EU)のレベルで対応を働きかけることを約束。メルコスルとの貿易協定案を現状では承認しない姿勢も再確認した。これらの発表について、抗議行動を展開する農民団体側は納得しておらず、道路封鎖等の抗議行動を継続する構えを示している。

KSM News and Research