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妊娠中絶の権利を保障の憲法改正案、上院を通過

上院は28日、妊娠中絶の権利を憲法において明文化するための憲法改正法案を賛成多数で採択した。政府は3月4日に両院合同会議を招集、この機会に改憲法案が最終的に可決される見通しとなった。憲法における妊娠中絶の権利の明文化は世界でも初めて。

上院で多数派を占める保守・中道勢力内には、この憲法改正を不要だとして反対する動きがあった。規定により、上院と下院が同じ文言で改憲法案を採択しない限り、両院合同会議の招集には進めないことになっており、上院が改憲に協力するかどうかは不確かだった。上院で法案説明に立ったデュポンモレティ法相は、差し当たり人工中絶の権利がフランスで脅かされているということはないが、諸外国の例を見る限り自明とは言えないとし、フランスが内外に明確な意思表示をすることの重要性を強調。数日前に、ニュース専門地デジテレビ局のCNewsが、「妊娠中絶の死はがんとたばこと同じ」などと報じた(局側は後に謝罪)ことを引き合いに出して、フランスにも脅威はあると言明。さらに、改憲は、妊娠中絶の権利の拡大を目指すものではなく、権利の保護を目的としたものだと説明し、慎重派を説得した。投票では、「女性が人工中絶を利用する権利を保障する」との内容の改憲法案が、賛成267、反対50で採択された。保守野党の共和党でも、賛成が72票、反対が41票となり、賛成が反対を上回った。

3月4日に開かれる両院合同会議では、上下院議員の5分の3の賛成を以て改憲法案が採択される。上下院の賛成票の数をみる限り、法案の可決成立は確実とみられる。

KSM News and Research