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格安TGVの仏ケビン・スピード、参入に向けて運行枠を予約

格安高速鉄道を目指すスタートアップ、ケビン・スピード(Kevin Speed)は2月29日、仏鉄道インフラを監視するSNCFレゾー(国鉄SNCF子会社)との間で国内3路線での高速鉄道(TGV)運行を開始するための枠組み合意に調印した。運行開始から10年期限(更新可)の契約を結ぶことを取り決めた。

ケビン・スピードは2028年末からパリ・リール、パリ・ストラスブール、パリ・リヨンの3路線でTGVを運行する計画。合計で途中駅6駅にも停車する。SNCFレゾーは、貨物輸送関係ではこうした運行枠付与の保障を与えた実績があるが、旅客輸送では今回が初めてとなった。今回の合意により、開業に必要な約10億ユーロの投資資金の調達に弾みがつくことが期待される。同社はすでに公的金融機関BPIフランスから融資を取り付けている。

将来的には各路線で1日16往復を運行する計画で、1路線につき年間600万人の利用者達成を目指す。補助金を得ずに事業を成立させる方針。利用回数が増えるほど料金が安くなる方式の顧客定着戦略を採用する。将来的には20本の列車が必要となるが、開業時には各路線3本で開始する。サービスの商標は「ilisto」、列車はアルストムから新造にて調達する予定で、アルストムは保守も担当する。1階建て車両で定員760人を実現し、最高時速は300キロ、各駅での停車時間を減らすため乗り口と降り口を分けて設置する。

同社は、TGV路線と並行する高速道路を利用する自家用車(現在は旅客輸送量の80%超を占める)から旅客を鉄道に引き寄せることを目指している。自家用車の台数を3%減らすためには、列車の座席数を25%増やす必要があるとして、参入を正当化した。

KSM News and Research