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ポンピドゥーセンター・メッス分館で落書き被害、女流芸術家の犯行

ポンピドゥーセンター・メッス分館で5月6日、展示作品に落書きなどがなされる事件が発生した。パフォーマンス芸術家のデボラ・ド・ロベルティスが「犯行声明」を出した。

メッス分館では、精神分析家ジャック・ラカン(1981年没)をテーマとする特別展が開催中だった。オルセー美術館から貸与され、ラカンが一時所有していたことで知られるクールベの絵画「世界の起源」を含む5作品が落書きの対象となった。女性たちのグループが訪問者を装い会場に入り、数人が騒ぎを起こして監視員らを引き付けた上で、別の数人が赤いペンキで作品に「MeToo」と落書きした。女性の陰部を描いた「世界の起源」のほかに、オーストリアの女性現代芸術家VALIE EXPORTの作品を含む5作が被害を受けた。「世界の起源」はガラス板により保護されており、本体に汚損は及ばなかった。

当局は実行犯のうち2人の女性を逮捕。逮捕されたのは30代の女性2人で、犯罪歴はなかった。デボラ・ド・ロベルティス本人は騒乱の際に会場にいて、展示されていた仏女性現代芸術家のアネット・メサジェの繊維オブジェを取り外し、バッグに入れて逃走した。ロベルティスはその様子を写した動画を自ら公開。この作品が特別展を企画したベルナール・マルカデ氏の所蔵品だが、自身はマルカデ氏に性的虐待を受けたとし、作品の「没収」は借りを返させる当然の行為だなどと主張している。なお、ロベルティスは、芸術作品の隣で陰部を見せるというハプニング芸術で知られ、クールベの「世界の起源」の前で陰部を見せているところの写真が作品として、今回の特別展でも展示されていた。当局は6日の時点でロベルティスを逮捕していない。

事件を経てメッス分館は7日に臨時閉館となった。8日に再開が予定される。

KSM News and Research