フランス情報メディアのET TOI(エトワ)

フランスと日本をつなぐ

1€=

新規登録

欧州委、フランスなど7ヵ国を過剰な財政赤字是正手続きの対象に

欧州委員会は19日、過剰な財政赤字の是正手続きを加盟7ヵ国について開始すると発表した。フランスも対象となった。

欧州委は、フランスのほか、イタリア、ベルギー、ハンガリー、ポーランド、スロバキア、マルタの7ヵ国を対象とした。フランスの場合、財政赤字の対GDP比が2023年に5.5%となり、目標の4.9%を大幅に上回っていた。金額にすると158億ユーロの超過となる。政府は2027年に同比率を3%以内に圧縮するとの目標を設定しているが、その達成は極めて困難になった。折しも、マクロン大統領は欧州議会選挙の結果を踏まえて解散総選挙を決定したが、優勢の極右RNと左派連合はいずれも費用高の公約を掲げており、財政健全化の展望は一段と遠のいている。

なお、欧州連合(EU)は先頃、財政規律を定めた安定・成長協定を見直した。新型コロナウイルス危機に続いて、ウクライナへのロシアの侵攻に由来する混乱があり、EUは協定の適用を2023年まで凍結していたが、今年に見直しを経て適用が再開された。見直し後でも、財政赤字の対GDP比を3%以内、公的債務残高の対GDP比を60%以内とする従来の基準は維持されるが、是正手続きの対象国には、4年間の財政運営の目標について定める計画文書の提出が求められ、そこでは、投資的支出を特別扱いするなどの形で、財政規律の柔軟な適用を行うことが認められる。欧州委は、公的債務残高削減の目標(同残高の対GDP比が90%を超えている場合には年平均で同1%相当、60-90%の場合には同0.5%相当の削減)を義務付けることができる。対GDP比で0.1%までの制裁金を科すこともできるが、以前より制裁金による罰則が適用された実績はない。

KSM News and Research