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ラヴェルの「ボレロ」、著作権保護期間延長の請求が棄却に

モーリス・ラヴェルの名曲「ボレロ」の著作権をめぐる訴訟で、ナンテール地裁は6月29日、著作権保護期間の延長を求める承継者らの訴えを退ける判決を下した。

ボレロは1928年初演で、ラヴェルは1937年に亡くなっているため、その78年後の2015年にボレロの著作権も失効した。本来なら没後70年で失効するが、第二次世界大戦を考慮した延長を経て、78年後に失効した。失効の直前に、画家のアレクサンドル・ブノワの承継者らがボレロの共同著作権を主張してSACEM(著作権者協会)に延長を請求。SACEMがこれを拒否したため、提訴に至っていた。その判決が今回下された。

ブノワは、パリ・オペラ座のバレエの舞台芸術を担当していたが、ブノワの承継者らは、ボレロがもともと当該バレエ作品の音楽として着想されたものだと主張。「ボレロ」初演時に同時に上演がなされたバレエ作品にブノワのクレジットがあることなど根拠に、ブノワがラヴェルの創作活動に影響を与えた共同制作者であって、著作権を共有していると主張した。この主張がみとめられれば、ブノワは1960年没のため、そこから70余年で著作権保護期間は2039年まで延長されることになる。分け合うとしても著作権期間の延長を得られるからか、ラヴェルの権利承継者らも、この訴えを支持していた。

裁判所は、SACEMの主張を認める形で、ブノワが共同制作者であるという主張に根拠が示されていないと認定。ブノワ本人が一度も共同制作について言及していないことなども指摘して、承継者側の要求を退けた。承継者らは判決を不服として控訴する構えで、当該バレエ作品の振付師だったニジンスカ(1972年没)も著作権者であるとする主張を展開するという。

KSM News and Research