マクロン大統領は23日、ストラスブールで第2次世界大戦におけるフランス解放80周年を祝う式典を行った。この際に、歴史家のマルク・ブロック(1944年没)のパンテオン入りを発表した。
パンテオンは共和国の偉人を祀る霊廟。マクロン大統領は今年を通じて、フランス解放を祝う式典を各地で挙行してきたが、ストラスブールでの式典はその締めくくりとなった。マルク・ブロックは1886年にアルザスのユダヤ系家族に生まれ、1929年にはアナール学派と呼ばれる実証的歴史研究学派の創設に関わった。中世史の分野で記念碑的な業績を残し、第2次大戦下ではレジスタンスに加わり、1944年6月にナチスドイツの秘密警察により拷問の上で処刑された。戦後に刊行された遺作の「奇妙な敗北」は、ナチスドイツに敗れて休戦条約を結ぶに至ったフランスの状況を、政治や社会を含めて分析・考察した書として知られる。マクロン大統領は、極右勢力が再び台頭する現在のフランスにおいて、ユダヤ系の知識人で、レジスタンス闘士だったマルク・ブロックのパンテオン入りを通じて、世論に訴えかけることを望んだものと考えられる。