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シャルリー・エブド襲撃事件から10年

シャルリー・エブド編集部をイスラム過激派が襲撃したテロ事件から、1月7日でちょうど10年目を迎えた。2015年1月7日に、パリ市内のシャルリー・エブド編集部が、武装した2人組による襲撃を受け、風刺画家やジャーナリストらを含む12人が死亡。犯人らは逃亡の末に、治安部隊との銃撃戦を経て死亡した。この事件は、イスラム過激派によるテロ事件の起点となり、同9日には、パリ市内のユダヤ教対応食品の販売専門店が、シャルリー・エブド編集部の襲撃犯の仲間により襲撃を受け、立てこもり事件に発展。犯人を含む4人が死亡した。こちらの事件の犯人は、その前日にパリ近郊モンルージュ市内で、市営警察官を射殺する事件を起こしていたことが後に判明した。この事件と関連して、同年11月13日には、パリ同時多発テロ事件が発生しており、2015年は、年明けから晩秋まで、イスラム過激派の脅威に揺さぶられた年になった。

シャルリー・エブド襲撃事件は、同誌がイスラム教預言者ムハンマドの戯画を掲載した(2006年)ことがきっかけとなり発生した。この掲載は物議を醸し、シャルリー・エブドは長らく、イスラム原理主義勢力などから脅迫の対象となっていた。凶悪な襲撃事件の発生は大きな衝撃を与えた。イスラム過激派の脅威は依然として去っておらず、2020年には、「表現の自由」に関する授業でムハンマドの戯画について扱った中学校教諭のサミュエル・パティさんが過激派により勤務先の学校付近で惨殺される事件も発生している。ルタイヨー内相は、事件から10周年という節目を迎えて、警戒を強化する方針を公表。人が集まる場所や機会などの警備を強化するよう指示したことを明らかにした。 言論と表現の自由について、シャルリー・エブドは7日付の特別号において、ジャンジョレス財団の依頼で行われた世論調査の結果を公表。これによると、「風刺画を含めて表現の自由は基本的人権に属する」と答えた人が全体の76%を占めた。これは、事件前の2012年に行われた同様の調査に比べて18ポイント高く、国民が広く表現の自由を重視していることをうかがわせている。ただ、若い世代ほど、表現の自由に不寛容であることも明らかになっており、18-24歳の層では、「シャルリー・エブドがムハンマドの戯画を2006年に掲載すべきではなかった」と答えた人が31%と最も高かった。事件で暗殺されたカビュ氏が描いた、「馬鹿者どもに好かれるとはつらいことだ」とムハンマドが泣いているという風刺画については、この層で46%が「ショックを受けた」と回答している。

KSM News and Research