フランスでは9日から、銀行による即時入金の無料提供が義務化された。欧州連合(EU)の指令に即して無料化が実現する。個人顧客と法人顧客のいずれでも無料で即時入金のサービスを利用できるようになる。
送金手配から入金までほぼ同時に遂行される即時入金のサービスは開始されて久しいが、有料での提供が多かったこともあり、あまり普及していない。フランス中銀によると、欧州では普及率が11%であるのに対して、フランスでは6%と低い。新たな規則の下では、通常の送金と即時入金を料金上で差別化することが禁止される。通常の送金は既に無料で提供されていることから、即時入金も横並びで無料になる。ユーロ建てで銀行口座番号(IBAN)を利用した送金が無料化の対象となる。
実際には、ラ・バンク・ポスタル(郵便ラポストの銀行子会社)、クレディミュチュエル・アルケア、クレディアグリコルの一部地方金庫、そしてブルソバンクなど多くのネット専業銀行が以前から無料化を完了している。また、銀行の多くが、年次料金改定の枠内で1月1日付にて無料化を実施しているという。銀行側としては、口座番号情報の整合性の確認を徹底する義務があり、新規送金先の登録に必要な時間は引き続き24-48時間と長めに設定されている。欧州連合(EU)の側では、即時入金の普及により、オンライン決済におけるクレジットカード大手の寡占を突き崩す効果を期待している。