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EUへの不法越境者数、2024年に大きく減少

欧州国境沿岸警備機関(Frontex)によると、欧州連合(EU)の域外から域内への不法越境者の数は2024年に前年比38%減の23万9000人にとどまった。新型コロナ危機の影響で不法越境者が低下していた2021年以後での最低水準となった。

ルート別では、チュニジアやリビアからの越境者が減ったことで、中央地中海ルートでの不法越境者は6万7000人にとどまり、前年比59%減を記録した。また西バルカン・ルートでの不法越境者も78%減と大幅に減少した(2万1520人)。それ以外のルートでは増加がみられ、東地中海ルートは14%増の6万9436人、西地中海ルートは1%増の1万7026人、西アフリカ・ルートは18%増の4万6877人、東部陸上国境ルートは192%増の1万7001人を記録した。

不法越境者が全体として大きく減少したのは複数の要因によると思われるが、EUによる不法移民抑制策の効果もあるとみられている。特にイタリア政府の新対策により地中海上でNGOが不法移民船を救助することが以前よりも難しくなったことが指摘されており、メローニ首相は対策の効果に満足感を表明した。イタリアに流入する不法移民が減る一方で、スペインが不法移民の主な玄関口と化している。

なお、不法移民の性別は男性が90%と圧倒的多数。未成年者の割合は16%で、前年の13%を上回った。EUへの不法越境を試みて地中海などで遭難した死者数は約2300人というが、NGOなどによる集計では死者数はより大きくなっている。

KSM News and Research