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イスラム同胞団による浸透戦略に関する報告書、政府に提出

マクロン大統領は本日、国家防衛治安評議会(CDSN)の会合を開く。この機会に、イスラム同胞団に関する報告書が提出される。日刊紙ルフィガロは21日付でその内容を報じた。

報告書は、ダルマナン内相(現法相)が2024年3月に作成を依頼したもので、政府高官が作成に当たった。その後、解散総選挙を経て報告書の提出が遅れていたが、ルタイヨー現内相はタカ派アピールの一環でこの報告書を特に重視、保守系日刊紙のルフィガロにその内容を流したのも内相周辺と考えられる。

報告書は、ムスリム同胞団が市町村議会や広く社会への浸透を図り、イスラム教の戒律(シャリア)の適用を国内で企てているとする内容。ムスリム同胞団は1928年にエジプトで結成された原理主義団体で、サウジアラビアやエジプト、ヨルダンでは活動が禁止されている。大統領周辺では、原理主義組織の脅威は既に把握されている問題で、対策法の制定など、これまでに対応も進められてきたと説明。今回の報告書は政府にとって不意打ちではなく、これまでの流れに沿って対応すべき問題だとコメントしている。ムスリム同胞団のようなイスラム主義への対応として、閣僚の一部からは、未成年者のヒジャブ(イスラム教徒の女性が着用するスカーフ)着用禁止などの措置を提案する声も上がっている。ムスリム同胞団の国内禁止措置については、「ムスリム同胞団」と名乗る組織そのものが存在していない以上、効果はないとする声があり、また、資金の流れが専ら欧州からであることを挙げて、欧州連合(EU)の助成金の支出先の見直しを含めて、欧州全体での協力が不可欠だとする指摘もある。

KSM News and Research