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会計検査院、社会保障会計の赤字増大で警告

会計検査院は26日、社会保障会計に関する報告書を公表した。赤字増大に伴い社会保障会計の資金繰りが危機的状況に陥るリスクがあると厳しく警告する内容となった。

報告書によると、2024年に153億ユーロに達した健康保険の赤字額は、2025年には221億ユーロ、2028年には241億ユーロまで増大する懸念がある。この予測は、収入増加に関する政府の予測に依拠しているが、会計検査院は、予測は楽観的であり、赤字額はさらに拡大する恐れがあると警告している。

報告書は特に、社会保障会計の累積債務の処理方式が変更される点を指摘。これまで同会計の赤字を引き受けて償還に当たっていた公庫CADESが2033年で清算されることになっており、その準備で、CADESは新規債務の引き受けができなくなる。そのため、社会保障会計の上部金庫であるACOSSが赤字を引き受けることになるが、ACOSSが背負う債務額は2028年には1150億ユーロまで到達する。ACOSSは24ヵ月を超える債券を発行することは認められていないため、このままだと、資金繰りの問題が2027年にも発生する恐れがある。CADESの清算時期を先送りにするという手段があるが、そのためには国会で「憲法付帯法」を可決させなければならず、通常の法律よりさらにハードルが高い同法を可決させるのは、政府が過半数を持たない現状では困難と考えられる。

KSM News and Research