イスラエルが6月12日夜からイランの空爆に着手した件で、英仏独の欧州主要国は13日時点より、イスラエル政府を支持する立場を表明した。ガザ地区の問題などを巡り、フランスをはじめとする欧州諸国はイスラエル政府との緊張を強めていたが、イラン空爆を契機に欧州諸国はイスラエル寄りの傾斜を強めた。
マクロン仏大統領は13日に緊急会合を開いて対応を協議。大統領は会合後の記者会見において、イスラエルには身を守る権利があると言明。イランが核兵器製造に向けた重要な局面に近づいていたとし、中東全域の不安定性にイラン政府が重大な責任を負っていると非難した。大統領は、イランに対する攻撃にフランスは関わっておらず、関わる考えは一切ない、と言明した上で、イランによる報復に対するイスラエルの防衛と保護のための作戦には加わる考えがあるとし、イスラエルのネタニヤフ首相に、その旨を申し入れたことを明らかにした。フランスは、ヨルダン、アラブ首長国連邦、イラクに軍事基地を有しているが、厳戒態勢を敷くと共に、中東地域の在外公館や居留の仏人の保護を強化することを決めた。中東地域への渡航を見合わせるよう求める勧告も出し、国内のテロ警戒態勢の強化も決めた。
フランス政府は、18日にニューヨークの国連本部で会議を開き、自国を含めた複数の諸国によるパレスチナ国家承認を決める予定だったが、マクロン大統領はこれについて、安全上の理由などを挙げて「延期」することを明らかにした。アラブ諸国によるイスラエル国家承認などを条件に、「二国家解決」を後押しする目的でパレスチナの承認を進める計画だったが、足元の状況で関係諸国の足並みが揃わなくなった。