仏大手銀行BPCEは13日、ポルトガル同業ノボ・バンコの75%株式の取得で米ローンスター(投資ファンド)と合意した。ノボ・バンコの評価額を64億ユーロに設定して、現金にて買収する。残り25%株式を所有するポルトガル政府系機関も、株式の譲渡に応じる方針を示した。BPCEは2026年下半期に完全買収を完了することを目指す。
ノボ・バンコは、ポルトガル第4位のリテール銀行で、全国に290支店を展開する。従業員数は4200人。市場シェアは、個人顧客で9%、法人顧客で14%。2024年には7億5000万ユーロの純利益を達成した。BPCEはポルトガル事業で3000人を雇用しているが、ノボ・バンコの統合後で、ポルトガルは同行にとってフランスに次ぐ第2のリテール市場になる。フランス市場では、住宅ローンは固定金利が主流で、金利が上昇局面に入っても、銀行にとってはその恩恵の浸透が遅れるという欠点があるが、ポルトガルでは事情が異なり、多角化により得られるメリットは大きい。
欧州では、国境を超える銀行の合併案件が振るわず、最後の大規模な案件が、仏BNPパリバによるベルギーのフォルティス買収(2009年、104億ユーロ)となっている。ノボ・バンコには、スペイン大手のカイシャも関心を示していたが、ポルトガル政府の意向もあり、BPCEが売却先に選ばれたという。