パリ高裁は6月17日、架空雇用問題の裁判で、フィヨン元首相に執行猶予付き禁固4年の量刑を言い渡した。禁固5年(実刑部分1年)の有罪判決を一部減刑した。また、37万5000ユーロの罰金額は同じだが、被選挙権停止期間は10年から5年へと短縮された。被告人は量刑を不服として上告することができる。
この裁判では、フィヨン氏が国会議員時代に、夫人を公設秘書として採用し、国会から給与を支払わせて着服した問題が問われていた。裁判は既に最高裁まで争われ、最高裁判決により有罪は確定していたが、最高裁は、執行猶予が伴わない実刑部分のある量刑としたことを、下級審が十分に正当化していないとする判断を示し、量刑を見直すため、裁判のやり直しを命じていた。それに沿った量刑の有罪判決が下された。なお、フィヨン元首相の夫人と、フィヨン氏の代議員(閣僚就任の場合に代わって議員となる者で、選挙時にペアで選ばれる)については、下級審の有罪判決(執行猶予付きの禁固2年及び禁固3年等)が維持され、被告人らに命じられた合計80万ユーロの損害賠償の支払いも全体として維持された。
これとは別に、フィヨン首相時代に大統領を務めたサルコジ元大統領は15日付で、レジオンドヌール勲章をはく奪された。元大統領は先に、汚職事件で1年の実刑部分が伴う有罪判決が確定しており、規定によりはく奪が運営局により決定された。規定では、1年以上の実刑部分が伴う有罪判決を受けた者は勲章をはく奪する旨が定められており、その適用を求める請求が市民らからなされ、運営局もそれに応じた。元大統領がレジオンドヌール勲章をはく奪されるのは、対独協力政権を率いたペタン元帥以来で初めてという象徴的な処遇になった。ちなみに、フィヨン元首相のほうは、今回の判決により、勲章ははく奪されずに済むことになる。