下院調査委員会は6月17日、仏領ポリネシアにおける核実験に関する調査報告書を公表した。国に対して、ポリネシアに対する公式な謝罪を求める内容となった。
報告書は10日に、極右政党RNが棄権したのを除いて、全会一致で採択された。RNは「悔悟」を拒否することを理由に、報告書に賛成票を投じなかった。
仏領ポリネシアでは、1966年から1996年にかけて193回に及ぶ核実験が実施された。うち46回は大気圏内核実験だった。仏政府は長らく、実験による健康への影響はないとする立場を採用してきたが、2007年にサルコジ大統領(当時)が、核実験による被害者の存在を初めて認める発言をしており、それ以来で、事実関係を問い直す議論が活発になった。調査委の作業は、2024年6月の解散総選挙により中断されたが、その後は作業が順調に進められ、今回の報告書の採択に至った。
報告書は、過去の政府が、住民の健康よりも、「核実験は安全」という主張が維持されるようにすることを優先したと指摘し、国は嘘をついていたと認定した。その上で、仏領ポリネシアの住民のフランス国家に対する信頼を回復するためにも、法律の制定により国が正式な謝罪をすべきだと結論した。健康被害の補償では、2010年の法律により、CIVEN(核実験被害者補償委員会)が設置され、被害者の補償の是非を判定しているが、3000件の申請に対して、補償が認められたのは1000件にとどまっている。報告書は、法律の改正を通じて、より多くの被害者が補償を受けられるようにすべきだとし、特に、補償を受けるのに必要な被ばく量最低限の設定について見直しを求めた。
仏領ポリネシア政府は2023年以来、独立派勢力の下にある。ポリネシアとの関係を維持するためにもしかるべき謝罪を行うべきだとする声も聞かれる。