完全置換型人工心臓を開発した仏カルマットは6月30日朝、ベルサイユ商事裁判所に会社更生法の適用を申請すると発表した。資金繰りに行き詰まり、金策のめども立たなかったと説明した。同日の市場における株式取引も停止を申請した。
カルマットは、心臓移植を待つ末期的患者のつなぎ用として、完全置換型人工心臓「Aeson」を開発した。これまでに122人の患者に施術が行われた。同社は、6月半ばの時点で、資金調達の条件が厳しくなる中で運転資金が底をついたと発表。月末までに350万ユーロが確保できなければ倒産は避けられないとして、個人を含めて広く拠出を呼びかける募金キャンペーンに着手していた。集まった資金はわずか1万9420ユーロだったといい、奇跡は起こらなかった。同社はそれより前、仏政府や欧州投資銀行(EIB)などに協力を要請したが、不調に終わっていた。カルマットは、会社更生法の適用下に入り、患者のサポートを継続しつつ、事業を続ける道を探ると説明している。
同社は2024年に営業赤字を4920万ユーロまで圧縮していた(前年は5250万ユーロ)。純損失は5140万ユーロで、こちらは250万ユーロの改善を記録していた。直近四半期の売上高は700万ユーロだった。