フランス情報メディアのET TOI(エトワ)

フランスと日本をつなぐ

1€=

新規登録

男性至上主義のテロ計画容疑で逮捕者、フランスでは初めて

男性至上主義のテロ行為を計画していた容疑で、18歳の高校生が7月1日に容疑者認定を受けた。男性至上主義のテロ容疑事件はフランスではこれが初めて。

容疑者のティモティ・Gはサンテティエンヌ市に在住。通学先の公立高校付近でテロ対策を専門とするDGSI所属の警官らにより、6月27日に逮捕された。容疑者は逮捕時に刃物2体を所持していた。容疑者は取り調べに対して、「Incel」と呼ばれる男性至上主義運動に傾倒していることを認め、SNS上で関連のコンテンツをよく閲覧していることも認めている。当局は、1日時点で、テロ計画等の容疑で予審(担当予審判事が起訴の是非を決めるために行う裁判上の手続き)開始を通告。勾留継続をあわせて決定した。

Incelは北米起源の思潮で、「involuntary celibate」の略。白人男性が不当に女性により拒絶され、独身を強要されているという趣旨で、その背後には移民が不当に幅を利かせていることがあるとも考えて、もてないことが女性蔑視と人種差別に直結してゆくという構図になっている。英国のインフルエンサー、アンドリュー・テイト氏が唱導役を果たし、ノルウェーの大量殺人犯ブレイビク受刑者などが崇拝の対象となっている。犯行事案は1989年にカナダで発生したのが嚆矢で、間欠的に女性を狙った殺傷事件が北米などで発生している。フランスではまだ発生しておらず、計画容疑の逮捕者も今回が初めて。容疑者の弁護士は、容疑者について、行動を起こそうとする活動家というよりも悩める若者という印象を得たとし、捜査の過程で実情が明らかになってゆくものと考えるとコメントしている。

KSM News and Research