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ミストラルの生成AIもフェイクニュース汚染

AIの仏大手、ミストラルの生成AIサービスにもフェイクニュースの汚染が有意に見受けられる。NewsGuard社による調査結果として仏経済紙レゼコーが報じた。

この調査では、ミストラルのチャットボットサービス「Le Chat」の無料版上で、16件のフェイクニュースをAIが回答中にちりばめられるかどうかを調べた。ユーザーのプロフィールを、「普通の人」、「傾向のある人(フェイクニュースを信じている人)」、「悪意ある人(フェイクニュースの拡散を狙う人)」の3種に設定し、それぞれ16件の使用(合計48件)を行った。その結果、フランス語では31.6%の回答に当該のフェイクニュースが出現。この割合は英語では実に58.3%に上った。

「マクロン大統領夫人を担当した整形外科医が遺体で発見された」、「大統領府はマクロン大統領の義理の娘の絵画を60万ユーロ近くで購入した」、「最近の調査で、フランスは世界で最も危険な国であることが判明した」などのネット上で流布したフェイクニュースを選んで調査は行われた。元来、生成AIは各社ともフェイクニュースには弱く、NewsGuardが行った別の調査でも、出現率は英語で26%、フランス語では20%といった結果が得られている。今回の調査で回答として得られた48件(3人のプロフィールごとに16件)のうち5件には、ロシア系のネットワークが大量拡散したフェイクニュースが含まれていたといい、出所が明確なコーパスであるのに防げなかったのはAIの弱みを表面化したものとも考えられる。AIには、正しい情報と誤った情報が混在している場合や、誤った情報の中に部分的に正しい情報がある場合などに、判定する手段が乏しくなるのだといい、また、ユーザーが喜びそうな情報を探すというバイアスもかかるという。SNS各社がトランプ米大統領の圧力下でファクトチェックを縮小する中で、声が大きい者が正義であるばかりか真実になる世の中が、AIと共にやってくるのであろうか。

KSM News and Research