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発売100周年のライカカメラ、新時代への適合に成功

カメラ・レンズの独老舗メーカー、ライカカメラは2025年、初めてのポケットサイズの小型カメラ「ライカI(A)」の販売を開始してからちょうど100周年を迎えた。一時はデジタル化の波に押されて苦しんだライカカメラだが、現在はビンテージ志向の高級路線が奏功し、業績は好調だという。

この6月には、ウェツラー市(ヘッセン州)本社施設「ライツ・パーク」で記念式典が開かれた。ライツ・パークは10年ほど前に整備され、事務所や工房、博物館やホテルからなる複合施設。ここでは毎年、クラシックモデルの競売会が開かれており、今年も420ロットが競売に付された。ライカは、中古モデルの修理から下取り、販売までの事業を内製化しており、ブランドイメージを高める手段として活用している。そのネットワークで吸い上げた逸品を出品して、競売会を毎年開いている。今年も、目玉の1923年に製造されたプロトタイプ「ライカ0」は720万ユーロで落札されるなど盛況だった。

ライカには仏高級ブランド大手のエルメスが2000年から2006年まで36%株式を保有し、立て直しに力を貸した。2005年時点で年商は9000万ユーロ、赤字が1900万ユーロに上っていたが、ビンテージ志向の立て直しが奏功し、2009年のデジタルカメラ「ライカM9」を皮切りに、復調の道を進んだ。2025年3月期の年商は6億ユーロ程度といい、収支は夏休み明けに発表される。

このところは、レトロブームもあって銀塩フィルムのカメラの人気も高まっており、ライカの場合、Mシリーズの新品の20%は銀塩カメラ(2015年には5%)だという。使い方としては、ネガフィルムをスキャンして、銀塩カメラのテイストをデジタルの世界に持ち込むのが主流だといい、プリントはあまり伸びていない。ライカカメラはこのほど、初めての「ライカ」ブランドの白黒フィルム「Monopan 50」を限定販売し、市場の今後の動向を注視している。

KSM News and Research