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AIミストラル、自社AIの環境負荷情報を開示

仏AI大手のミストラルAIが7月22日に自社サービスの環境負荷に関する情報を開示した。ADEME(仏省エネ庁)及びCarbone 4(コンサル)の協力を得て、外部組織による監査の形でAI事業に伴い発生する温室効果ガスの排出量などの把握を試みた。業界では不透明な発表が多い中で、客観的な数字に基づいた議論を行う第一歩と位置付けている。

これによると、同社の最も進んだ「ミストラル ラージ2」で、学習過程で発生した温室効果ガスは2万400トン(二酸化炭素換算)に上った。その86%が投入電力に由来している。最も小型のAIモデル「Ministral」ではこの数字が100分の1程度となり、AIの規模に応じて環境負荷は大きくなる。

「ミストラル ラージ2」は使用開始から18ヵ月が経過しているが、今のところ温室効果ガス発生の95%が学習段階において生じている。使用期間が長くなり、使用量が拡大するにつれて、使用段階における発生は増えてゆく。この推計においては、外国のデータセンターも算入されているが、外国データセンターの電源ミックスがフランスと同じであるなら、炭素負荷は73%減少するといい、これは電源の脱炭素化がAIの脱炭素化においては有効な手段となりうることを示唆している。データセンターの機器の製造過程等における温室効果ガス発生は全体の11%を占め、また、資源消費の全体の3分の2近くを占める。ただ、これについては、メーカーの開示情報が不十分で、把握が困難だという。データセンターによる水の消費は28万1000立方メートルに上った。

ミストラル ラージ2の使用に係り発生する環境負荷は、1回当たりで温室効果ガスが1.14グラム(二酸化炭素換算)、水が45ccという。これは、平均よりも複雑性が高い質問をしたと仮定して算出された推計だという。また、ミストラルAIによれば、この炭素負荷は、フランスにおける動画視聴55秒分に相当するという。

KSM News and Research