パリ商事裁判所は8月4日、アルティス・フランス(通信SFRの親会社)が債権者団と結んだ債務再編計画を承認した。同社の240億ユーロの債務のうち、86億ユーロ相当を45%株式に書き換え、16億ユーロを別途注入するという内容。アルティスはイスラエル系実業家パトリック・ドライ氏が築き上げた通信大手。CATVの買収を起点に、企業買収で大手企業にのし上がったが、債務が膨れ上がり、返済が困難な状況に行き当たった。民事再生手続きを経て債権者団と交渉し、今回の合意をまとめた。パリ商事裁における審理では、検察側が、SFRとその関連会社を合意対象から外すよう求めており、これだと再編計画は事実上頓挫することから、裁判所の判断が注目されていた。裁判所は、検察側の判断を退け、原案を承認した。SFRの労組は、債務再編を経てSFRが売却の対象となり、雇用に影響が及ぶことを恐れており、今回の決定を不服として控訴すると予告。検察側が控訴を決める可能性もある。 アルティス・フランスの側では、売却は今のところ計画されておらず、買収提案も、非公式のものを含めてまだ一切受け取っていないと説明。ただし、提案がなされたら、それがいかなるものであろうとも、検討をするのが経営陣及び株主の義務であるともコメントしている。報道によれば、国内の競合(ブイグ・テレコム、イリアッド)、外国勢(Etisalatなど)、ファンド(KKR、アーディアンなど)がSFR買収に関心を示しており、顧問銀行を手配して提案の準備を進めている。評価額は260億-300億ユーロ程度になるとも報じられている。