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スイス、39%のトランプ関税に危機感

米国が8月7日に発動した新たな「相互関税」により、スイスからの輸入品には39%という高税率が課されることになった。スイスのケラーズッター大統領兼財務相とパルムラン経済相は6日、米国政府に新たな合意案を提示するためにワシントンを訪問したが、米国の決定を変えさせるには至らなかった。トランプ大統領には会えず、ルビオ国務長官と会談したものの、新たな関税の発動延期さえ得られなかった。

スイス政府は7日に緊急閣議を開き、関税を早急に引き下げさせるために米国政府との協議を継続する決意を表明した。ケラーズッター大統領は、スイス政府の代表団がワシントンにとどまっており、交渉を続けると発表したが、この状況がいつまで続くかは分からないと述べた。なお、スイス政府は緊張のエスカレートを回避するため、対抗関税措置は講じない方針を明らかにした。今回、スイス側がどのような条件を提示したかは不明だが、スイスはすでに米国製戦闘機「F-35A」36機を購入することなどを提案済み。ただし、これには国内で強い反対がある。

スイス政府によると、米国は7日からスイスからの輸入品の6割近くに39%の関税を課している。パルムラン経済相は、関税引き上げの影響が特に大きい産業部門として、時計、工作機械、医療機器、チーズやチョコレートなどの食品をあげている。医薬品は当面は関税を免れており、9月末までは免除される見通しだが、トランプ大統領はスイスの製薬会社に対して、米国の医薬品価格を引き下げるための方策を提案するよう要求して圧力をかけている。トランプ大統領は国内の医薬品価格が低下しなければ、1年半以内に医薬品に150-200%の高関税を課す可能性も示唆している。

スイス機械・電機工業会(Swissmem)は7日、「破滅的シナリオが現実になった」と危機感を強めているが、スイス経済省の専門家は、新型コロナ危機ほど本格的なマクロ経済危機には繋がらないと予想、GDPの下振れ幅は0.5-1%程度にとどまると判断している。

KSM News and Research