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特殊鋼製造のNovAsco、再び会社更生法の適用下に

特殊鋼製造の仏NovAsco(旧アスコメタル)が8月11日に会社更生法の適用を申請した。ストラスブール商事裁判所は、買収提案の提出締め切りを9月末日に設定した。

同社は1年前に英グレイブル・キャピタル(再建ファンド)により救済買収され、会社更生法の適用から脱したばかりだった。グレイブルは再建のため9000万ユーロの投資を約束。仏政府も8500万ユーロの補助金を提供して肩入れしたが、再建は軌道に乗らなかった。グレイブルが実際に行った投資はこれまでのところ3150万ユーロにとどまり、再建計画も楽観的過ぎた(2年間での損益均衡復帰が実際には5年かかることが判明し、当初予定より投資的経費3000万ユーロが余分に必要になった)ことが再度倒産を招いたと政府筋では説明している。

旧アスコメタルは自動車及び機械部門向けの特殊鋼を製造。アゴンダンジュ(モゼル県)、ルフランクーク(ノール県)、キュスティーヌ(ムルトエモゼル県)、サンテティエンヌ(リヨン近郊)の4工場を保有し、従業員数は760人程度。前回の倒産時には、フォスシュルメール工場(ブーシュデュローヌ県)が伊マルチェガリアに別途売却され、現在は再建途上にある。この1年間で、鉄鋼部門はトランプ関税などで逆風が一段と強まっており、一括買収が実現する可能性は低い。政府は、雇用や地元に及ぼす影響を懸念して、7月の時点で買収者候補探しに着手しており、20程度の候補者と接触し、うち5社が部分買収に関心を示したという。それでも、自動車部門向けの製品に特化したアゴンダンジュ工場(従業員数450人)は閉鎖に追い込まれるとの見方もある。

KSM News and Research