財政健全化が至上課題となる中で、政府は国有不動産の管理体制の改善に取り組んでいる。日刊紙ルフィガロが8月13日付で報じた。
DIE(国家不動産局)によると、官公庁や特殊法人等が占有する不動産は全国に9670万平方メートルを数え、建物数で19万5745棟、地所では3万1000強に相当する。その8割強を国が所有している。評価額は2024年末時点で730億ユーロ強となっている。物件の種類では、全体の24%が事務所となっており、公務員1人の平均面積は25.2平方メートルに上る。民間部門では9平方メートルであり、スリム化を図れば節減につながる。昨年には、1人当たり16平方メートル程度にまで減らして総面積を25%削減することを目指す条項が予算法案に盛り込まれたが、実現しなかった。別途、議員立法法案の形で提出され、今秋に国会審議が予定されている。
不動産関連支出は年間160億-200億ユーロと推定されている。これは人件費に次ぐ第2の支出項目であるという。今後は、エネルギー効率の新基準適合化に向けた投資が嵩むことになり、こちらには2050年までで1400億-1500億ユーロが必要ともみられている。国有不動産をスリム化して売却すれば、費用の確保と節減への効果が期待できるが、物件売却は特に成果が上がった2023年でも2億7900万ユーロ相当(645件)であり、譲渡可能な不動産が減ってきたことを考えると、特効薬にはなりえない。