仏エリクシール・エアクラフト(Elixir Aircraft)は先頃、新開発の小型プロペラ機「エリクシール」の型式証明を米連邦航空局(FAA)から取得した。米国向け納品に向けた道が開かれた。同社は既に米国で300機を超える予約を得ている。 エリクシールは機体材料にカーボンファイバーを用いた同名の2人乗り小型機を開発。SAF(持続可能な航空燃料)のみで飛行可能である点にも特徴がある。欧州連合(EU)当局からは5年前に型式証明を得ており、今回のFAAからの取得により、重要市場の米国向けの販売に弾みがつくことが期待できる。 エリクシールは、訓練機や遊覧飛行の需要を想定。仏ラロシェルの工場で生産しており、現在は月間3機のペースで生産している。2、3年後をめどに月産30機体制の確立を目指しており、年間75機の販売(1機40万ユーロから)で損益均衡を達成できると予想している。2025年5月期の売上高は1000万ユーロ、従業員数は200人で、受注残は70機に上る。 同社は年内に2500万ユーロの資金調達を完了する予定。なお、同社は10年前の発足時に、地元のヌーベルアキテーヌ地域圏、BPIフランス(公的投資銀行)、Innovacom(投資ファンド)から2000万ユーロを調達していた。増産と、米フロリダ州の組み立て工場開設を目的とした投資を予定する。このクラスの小型機の更新需要は米欧市場だけで2030年までに年間500機程度と予想されており、同社は潤沢な需要を見込んでいる。