仏経済紙レゼコーが8月25日付で報じたところによると、米国と欧州連合(EU)が先に結んだ通商合意において、EUは大手のネットワーク事業者に対して通信事業者の費用を肩代わりさせる「フェア・シェア」と呼ばれる制度の導入を断念すると約束した。EUは、デジタル市場法(DMA)及びデジタルサービス法(DSA)の適用については譲らず、交換条件として「フェア・シェア」は断念したのだという。
「フェア・シェア」は、通信事業者らが長年にわたり導入を求めている制度で、通信容量の需要のかなりの部分を占める大手ネットワーク事業者に、通信インフラ整備の費用を一部負担させるという趣旨。フランスの場合、電気通信の通信容量の50%程度は、ネットフリックス、アカマイ(コンテンツデリバリーネットワーク事業者)、メタ、グーグルなどにより占有されており、通信事業者の側には、費用をかけて整備したインフラにより創出される付加価値の大部分をこれら大手業者に持ってゆかれるという不満が根強くある。
「フェア・シェア」制度は、欧州委員会が2024年2月に公表した白書中にも言及がある。この白書に基づいて作成中のデジタルネットワーク法(DNA)案が12月中にも公表されることになっているが、そこにこの制度が盛り込まれる可能性はなくなった。ただ、業界側では、狭義の「フェア・シェア」は実現しないとしても、係争解決手段の拡大・整備という形で、大手ネットワーク事業者に対する要求が通りやすくなる制度の整備が実現することに期待を寄せている。米大手の側では、海底ケーブルやデータセンターの整備の実績を強調し、しかるべき貢献をしているとの主張を展開している。