バイルー首相は8月25日に記者会見を開き、9月8日に内閣信任投票を下院にて行うと予告した。9月10日に「国を麻痺させる」抗議行動を実施する呼びかけが出回る中で、国の今後を決める議論を行う場所は議会だとし、内閣信任投票により信を問う考えを示した。
バイルー首相は9月に予算法案を公表する予定だが、同法案には、400億ユーロ規模の節減を盛り込むことを予告済みで、国民に不人気な決断を下す必要に迫られている。その一方で、内閣は議会で過半数を確保しておらず、予算案可決に向けた道は険しい。バイルー首相は、マクロン大統領に諮ったうえで、内閣信任投票を行うことを決めたと説明。首相は、公的債務の増大に歯止めをかけることが緊急の課題であることを強調しつつ、各議員に責任ある行動を求める考えを示した。
内閣信任投票とは、憲法第49-1条に基づく投票で、施政方針への支持を求める任意の手続き。有効投票のうち半数以上の賛成を得ることが信任の条件となり、いわゆる49-3条の不信任投票(投票を経ずに法案の採択を決める強制手続きで、内閣不信任案が全議席数に対する絶対多数で採択されない限りは法案は可決される)と比べてハードルが高い。マクロン政権においては、下院で過半数を失って以来、49-1条に基づく内閣信任投票は行われていなかった。バイルー首相は賭けに出たことになるが、信任が得られる可能性は極めて低い。野党勢力では、極右のRN、左翼のLFI、左派の共産党と環境派EELVがいずれも反対する方針を表明。社会党も信任はできないとする態度を示しており、このままだとバイルー内閣が9月8日に退陣に追い込まれる可能性が高い。信任投票はバイルー首相の辞任の偽装ではないかとする声も聞かれる。