下院は9月8日、バイルー首相が提出した内閣信任案を反対多数で否決した。バイルー内閣は9日にマクロン大統領に辞表を提出する。続いてマクロン大統領は数日中に次期首相を指名する運びとなる。
バイルー首相は、国民に厳しい節減を求める予算法案の提出に向けて、下院において信を問う目的で信任投票を行うと予告。首相のやり方には、野党勢力がそれぞれ強く反発しており、下院で過半数を持たないバイルー内閣が退陣に追い込まれるのは確実視されていた。投票では、信任が194票、不信任が364票という大差にて、信任案が否決された。バイルー首相は投票前の演説で、公的債務の削減に向けた努力が緊急の課題であることを強調したが、予想通りに内閣信任案は否決された。 投票に先立つ演説で、左翼政党LFI(不服従のフランス)は、マクロン大統領の弾劾と大統領選挙の実施が必要だと主張。極右政党RNを率いるマリーヌ・ルペンRN議員団団長は、解散総選挙の実施を大統領に迫った。マクロン大統領は辞任と解散のいずれにも応じない構えで、今後は後任の首相選びが当面の焦点になる。様々な名前が取りざたされている。大統領側近のルコルニュ軍隊相の名前が以前から出されているが、少数内閣の樹立において協力取り付けが不可欠な相手である社会党は、大統領側近の指名なら協力はしないと反発している。このほか、下院のブロンピベ議長が首相就任に意欲を見せているという。右派系の人材としては、ボートラン保健相と、ベルトラン・オードフランス地域圏議長の名前が挙がっている。社会党のフォール第一書記が大統領と電話で会談したとする報道もあるが、第一書記本人はこれを否定している。