9月10日にフランス全国で「国を麻痺させる」ことを掲げた抗議行動が展開された。内務省集計では全国で合計17万5000人程度が参加した。
この抗議行動は、SNS上での呼びかけに端を発しており、これに一部労組などが合流する形で行われた。政府が計画する予算削減への反発が基調となっている。内務省は事前に10万人程度の参加を予想し、8万人という異例の数の治安部隊員を動員して警戒に当たった。実際の参加者数はそれよりも多かったが、2018年11月のいわゆる「黄色蛍光ベスト」の抗議行動初回には28万2000人が参加しており、それに比べると比較的に小規模の抗議行動にとどまった。
全国で812件のデモなど抗議行動が展開された。労組の呼びかけでパリのシャトレ地区で行われたデモには1万人強が参加し、最も大きな規模となった。地方では、レンヌで合計1万400人程度と規模が最も大きく、これ以外では、ボルドー(6000人)、ブレスト(5000人)、ストラスブール(4900人)などで参加が多かった。パリでは早朝に環状自動車専用道の実力封鎖を試みる動きなどがあり、シェルブールとバランスでは鉄道線路を占拠する示威行動もあった。警官隊との衝突が発生する事案も発生。全国合計で473人(うちパリで203人)が逮捕され、うち339人(パリで106人)が勾留継続となった。高校生らによる運動への合流はさほどの規模にはならず、全国で支障が出たのは100校程度、実力封鎖の事案は27件(パリ、モンペリエ、レンヌ、リールなど)を数えた。
18日(木)には全労組の共通の呼びかけによる抗議行動が予定されており、一部の人々は、そちらを優先して10日の抗議行動を手控えた可能性もある。18日の抗議行動がどの程度の規模になるかが、就任したばかりのルコルニュ首相の今後を占うカギとなる。