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下院調査委、TikTokの未成年への悪影響を糾弾する報告書を公表

下院調査委員会は9月11日、未成年者に対するTikTokの心理的影響に関する調査報告書を発表した。TikTokのサービスのあり方に重大な問題があると厳しく糾弾する内容となった。SNSの利用制限など一連の規制強化も提言した。

調査委員会は去る3月に作業を開始した。TikTokのユーザーである未成年者の自殺や自傷、健康障害といった問題を重く見て、背景の究明と改善策の準備を目的に、調査委の作業は進められた。被害者の家族や専門家、業界関係者、TikTokの経営者など178人を対象に合計90時間の聴聞なども行い、報告書が作成された。

報告書は、TikTokのアルゴリズムにより未成年者のユーザーが特定の狭い世界に閉じ込められ、脆弱だった精神がさらにダメージを受けるという悪循環が生じていると分析。自殺や自傷、摂食障害などを煽るようなコンテンツが大量に届けられ、危険な傾向が助長されるリスクがあると指摘した。それ以外でも、集中力の喪失や睡眠障害、極端な美的標準を押し付けられることによる自尊心の低下など、未成年者の心の問題を増幅して悪化させる道具と化していると問題視した。報告書はさらに、フランス語圏のモデレーターが2023年から2024年にかけて26%削減されたことと、抜け道の多い対策を改善していないことを問題視。TikTokが、アイルランドにあるモデレーター拠点の見学に何かと条件を付けて応じなかったことも問題視した。調査委は、検察当局に、「TikTokのユーザーを生命の危険に陥れる」疑いを告発し、捜査を要請した。

報告書は改善策として、SNS全体を対象とする規制の導入を提言。15歳未満の者についてSNSへのアクセスを全面禁止することと、15-18歳の未成年者については、22時から8時までの間の接続禁止措置の導入を提言した。また、未成年者に対するおすすめ表示の停止、無限スクロールの禁止、有料ライブ配信の禁止などを勧告した。

KSM News and Research