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政府、「協議を経た雇用契約の打ち切り」に係る使用者拠出金の増額を検討

経済紙レゼコーの報道によると、政府は「協議を経た雇用契約の打ち切り」について、使用者負担の拠出金の引き上げなどを計画している。バイルー前内閣が準備していた社会保障会計予算法案に関連条項が盛り込まれているという。

「協議を経た雇用契約の打ち切り」は、解雇と辞任のいずれにも属さない雇用調整手段として2008年に導入された。2024年には51万5000件近くの雇用契約がこの制度を利用して解除された。政府は、財政健全化を目的とする節減措置の一部として、使用者負担の増加を考案したといい、具体的には、雇用契約の打ち切りに伴う手当(約9万4000ユーロまで)に係る「使用者特別拠出金」の料率を、30%から40%に引き上げることが計画されている。年金受給開始に伴う退職金についても、使用者拠出金の料率が40%へ引き上げられる。これらによる増収分は年間2億6000万ユーロ程度とされる。政府はこのほかに、企業が従業員に支給するティットルレストラン(外食バウチャー)やそれに類する支給物に係り8%の拠出金を使用者から徴収することを計画。それらによって合計で10億ユーロ程度の収入増を見込んでいるという。ルコルニュ首相は、予算諸法案への協力取り付けを目指して左派など一部の政治勢力と協議を進める考えで、これらの措置がどのような扱いになるかは今のところ明らかではない。その一方で、経営者団体の側では、負担増なら抗議行動を行うなどと威嚇しており、ルコルニュ首相の道は険しい。

「協議を経た雇用契約の打ち切り」については、失業保険制度への寄生にほかならないとする議論がある。辞任の場合と違って失業手当を受給することが可能で、再就職のインセンティブが乏しい有資格労働力が失業を必要以上に長く続けることを助長していると批判する声がある。2024年に失業保険が支給した手当総額370億ユーロのうち、100億ユーロは「協議打ち切り」の失業者となっており、全体の中で最も大きい割合を占めている。

KSM News and Research