9月18日に全労組共同の呼びかけによる抗議行動が全国で行われた。財政健全化のために一連の節減を計画する政府に対して、見直しを求めて圧力を行使する目的で、抗議行動は行われた。警察集計によると、全国の抗議行動の参加者数は50万人強となり、事前に予想されていた90万人という数字に比べると小幅にとどまった。労組CGTの集計では100万人が参加した。
デモ隊に紛れ込んだ暴徒が破壊行為を展開することも懸念されていた。同日20時時点の集計によると、全国で700件程度を数えたデモ等の際の逮捕者は309人で、治安部隊員11人が負傷した。懸念された大規模な衝突には発展せず、破壊の被害も予想より小さかった。
労組は9月19日に会合を開き、運動の今後について協議する。労組は今回の抗議行動の動員規模を成功と評価しており、この勢いを持続させて、新たな抗議行動を展開することを望んでいる。ただ、日程については足並みが揃っていない模様で、19日の会合でその点が協議の対象になるものとみられる。
ルコルニュ首相は、抗議行動のあった18日に、マクロン大統領支持の政治勢力の代表と会談し、各党及び労使との協議の第1ラウンドを終えた。首相はこれまで、具体的な方針を示すのを避けており、これからどのような発表をするかが焦点になる。そうした中で、社会党は、購買力増強を目的に、CSG(社会保障会計の財源となる目的税)の減税を要求。法定最低賃金(SMIC)の1.4倍までの給与所得に絞った減税を提案しているが、社会保障会計に50億-60億ユーロの減収を招く内容であり、財源をどうするかが問題となる。ルコルニュ首相は、政局運営において社会党の協力を必要としており、保守勢力の反発を招かない形で妥協点を見出すことが生き残りに向けた条件となる。