ルコルニュ首相は9月24日に全労組の代表を首相府に招いて、予算法案の準備などを巡り協議した。労組側は首相の対応に強い失望の念を表明、同日中に、10月2日(木)に次回の抗議行動を行うことを決めて発表した。
労組側は特に、平等な税制の実現と定年年齢の引き上げの断念を要求していた。24日の会合で労組側は、首相が具体的な方針を一切示さなかったと反発している。2日の抗議行動には教員労組も合流を決めており、労組側では大規模なストなどを行って圧力を行使する構え。
それとは真逆の立場から、経営者団体MEDEFのマルタン会長は24日に、「巨大ミーティング」を10月13日(月)に開催すると予告した。会長も、ルコルニュ首相との協議に失望の念を表明。会長は特に、企業に対する課税圧力の強さを問題視しており、2025年に臨時導入された大手企業対象の特別課税の継続や、富裕者対象の課税強化に反対している。後者については、フランス最大の富豪であるベルナール・アルノー氏(高級ブランド大手LVMHのCEO)が、社会党などが導入を要求する、いわゆる「ズックマン課税」を激しく批判する一幕が先にあったばかりで、これにはアルノー氏の「トランプ的傾斜」を指摘する向きもある。ルコルニュ首相は、ベンチャー企業への出資分などを念頭に、生産投資を妨げるような富裕課税は導入しないと述べているが、どのような落とし所を探るつもりなのかは明確になっていない。
その一方で、農民団体FNSEAの呼びかけで、9月25日から26日にかけて全国で一連の抗議行動が行われた。農民らは、欧州連合(EU)とメルコスール(南米南部共同市場)の間で合意に達した自由貿易協定について、農産品の大量流入を招き、農業に破滅的な打撃をもたらすと主張している。