仏政府が支援する低料金のEVリース契約の締結が9月30日に始まる。申し込みの受付は29日に開始された。5万件の契約に援助が付与されるが、早い者勝ちの契約付与につき、短期間で予定枠が満杯になるものとみられている。
同様のキャンペーンは昨年にも行われたが、援助が大きく応募が殺到し、国の負担も極めて大きくなったという経緯がある。援助の内容などを見直した上で、昨年に続いて今年もキャンペーンが開始された。
家計の標準課税所得(ウェイト付け後の家計成員数1人当たり)が1万6300ユーロ以下の人が利用できる。これは、所得水準の下位50%に相当する。ただし、通勤距離が15km以上であることが条件となる。契約1件につき国の援助額は最大で7000ユーロで、前年の1万3000ユーロから絞り込まれた。契約は月額200ユーロ未満であることが条件で、全部で36モデルが対象として選定された。ステランティスが17モデル、ルノーが9モデル、これに加えて、韓国の起亜・現代グループ、米フォード、独フォルクスワーゲン・グループのモデルも選ばれた。各社は、契約の20%を月額140ユーロ未満とすることを義務付けられる。
キャンペーンの予算は3億6900万ユーロに上る。国は、自らこれを負担せず、この事業を「省エネ証書(CEE)」対象とすることにより、CEE取得を義務付けられているエネルギー部門などの企業に負担を転嫁する形にした。メーカーにとっては販売促進につながる措置だが、ディーラーにとってはよいことばかりではない。リース料を引き下げるために残存価値を高めに設定する必要があり、現実的ではない水準の残存価値は、リース期間終了後に中古市場に流れる際に損失となって降りかかってくる。昨年は、国からの補助金の支給が遅れて資金難にも直面した。政府は今年には15日以内の支給を約束しているが、ディーラーとしては、申請のための書類作成など手続き上の負担も大きい。