パリ市の公費を巡る論争で、イダルゴ市長(社会党)は10月2日に市内の全20区の区長の公費支出の証憑を全面開示すると発表した。同日より開示情報の報道が出回っている。イダルゴ市長は2026年春の次期統一市町村議会選挙に出馬しないことを決めている。市長自身についても、海外領土訪問における公私混同疑惑などが取り沙汰されていたが、最近では、18区区長で側近のルジョワンドル市議の公費支出状況がリーク報道されており、騒ぎになっていた。イダルゴ市長は、市の野党勢力所属の区長を含めて、すべての区長の公費支出状況を明るみに出すことで、痛み分けの展開に持ち込むことを望んだものと考えられる。こうしたやり方に、市政与党の市議からは、「自分は立候補しないからいいが、我々は選挙に出るのだからねえ」など不満の声も上がっている。
左派系日刊紙のリベラシオンは3日付でこの件をトップ記事扱いで報じた。7区のドートセール区長(共和党)は4年半で衣服に3万5779.65ユーロを支出、5区のベルトゥー区長(右派オリゾン所属)は2021年に20回の美容院代を支出、など、あれこれ細部を報じているが、宿敵である7区のダティ区長(共和党)については、にぎやかなエピソードはなかったようで、無念そうにいくつかのレストランの支払いについて報じている。同紙は、ダティ氏がルノー日産からの利益供与を受けた疑惑で最近に起訴されたことを忘れずに付け加えた。