単一ユーロ決済圏(SEPA)では10月9日付で銀行送金の規則が変更された。安全性強化を目的に、送金先の口座名義人の氏名を正確に確認する義務(VoP)が銀行側に課された。
送金先の口座情報としては、名義人の氏名と口座番号(IBAN)を事前に入力する必要がある。このうち、氏名については、従来は規制が緩かったが、9日以降は、完全に名義人の氏名と一致することが必要になる。送金側の銀行が送金先の銀行に逐一照会する。
9日以降の送金においては、完全一致なら従来通りに送金が完了する。1字違いのような部分一致の場合には、送金先銀行から正しい名義人の氏名が顧客に提示され、「送金実施」か「キャンセル」かの選択が求められる。送金を実施すると、正しい名義人の氏名が自動的に登録される。不一致の場合(登録名が「お母さん」といった愛称の場合や、名字と名前のいずれかが欠けている場合など)には、正しい名義人の氏名は提示されない。この場合にも、「送金実施」を選んで指図を完了することができるが、事故が発生した場合(詐欺の被害を受ける、別の口座に送金がなされる、など)には顧客が自己責任を負うことになる。第4の可能性として、何らかの技術的問題により照会が失敗する場合もある。この場合も送金指図を完了させることは可能だが、やはり顧客側の自己責任で行うことになる。
数秒間で送金が完了する即時送金のサービスは年頭より無料化された。利便性が高いものの、即時完了のため取り消しが効かないという不都合もある。同サービスの安全性を高めて、詐欺事件を排除する目的もあり、規則の強化が行われた。