国際通貨基金(IMF)は10月14日に発表した新たな経済見通しで、ユーロ圏の成長見通しを上方修正した。2025年の成長率を1.2%と予測し、7月の前回見通しと比べて0.2ポイント引き上げた。ただし、2026年の成長率については0.1ポイント引き下げて1.1%とした。
2025年見通しの上方修正は、スペインの成長が7月の見通しよりも活発なことが主な理由。同国の2025年成長率は2.9%、2026年成長率は2%と予測され、7月の見通しと比べて、それぞれ0.4ポイントと0.2ポイントの上方修正が施された。サンチェス首相は「スペインは世界の主要経済国の成長の牽引車となっている」と歓迎した。
IMFはドイツについては、2025年に0.2%(前回見通し比で0.1ポイント引き上げ)、2026年に0.9%(前回見通しと同じ)を見込んでいる。同国は2年続いたマイナス成長から脱却できる見通しとなった。
フランスについては、2025年に0.7%(前回見通し比で0.1ポイント引き上げ)、2026年に0.9%(前回見通し比で0.1ポイント引き下げ)を見込んでいる。なお、IMFはフランスの財政問題(公的債務残高のGDP比率が115%に近く、財政赤字のGDP比率は5%超)や政局混迷が欧州金融システムの危機を招くリスクはないとの判断を示した。たしかに対独国債スプレッドは拡大しているものの、一定の範囲内に抑えられており、2014年にギリシャの債務危機を起点として波及した金融危機とは状況が非常に異なると指摘した。